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投資信託とは何なのか?資産運用で失敗しないために「現実」を知っておこう

はじめて資産運用を考える人が、インターネットの解説やマネー雑誌、あるいは金融機関の店頭で相談して、必ず出てくるのが「投資信託」という金融商品だと思います。
投資信託とは、投資をしたいと考えている人からお金を集めて、専門家が代りに投資、運用をする仕組みで、とくに銀行や証券会社などの金融機関で「投資信託」として販売されているものを指します。
確かに初心者の人にとって「資金を集めて」「専門家が代わりに運用」してくれる仕組みはメリットが大きいです。でもそれは、全部お任せで利益が期待できる、ということではないのです。

大切な資産の運用で失敗しないために、まず投資信託の「現実」を知っておきましょう。

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  • 投資信託の仕組みが簡単にわかる
  • 投資信託の「現実」を知って、正しい資産運用をする方法がわかる

投資信託の仕組み

まずは投資信託の仕組みを説明します。
投資信託とは、投資をしたいと考えている人からお金を集めて、専門家が代りに投資、運用をする仕組みです。そして、運用の結果(値上がり益や配当金)は預けたお金の額に応じて還元されます。

投資信託は、おもに銀行や証券会社などで販売していますが、銀行や証券会社でそのままお金を預かって投資をするわけではありません。投資信託は「投資信託会社」が商品として作り、その「投資信託会社」に所属する専門家(ファンドマネージャーやアナリストなど)が投資の判断をしています。そして、投資信託の資金や投資した株式などの資産は「信託銀行」が管理します。
販売 投資 資産の管理
銀行、証券会社など 投資信託会社 信託銀行

銀行、証券会社などの販売会社、投資信託会社、信託銀行はこんな役割分担で投資信託の運営を支えているので、投資信託の資金から定期的に「信託報酬」が支払われ、配分されます。また、投資信託を購入する人は、投資信託の購入金額とは別に、販売会社に「手数料」を支払います。

投資信託の5つのメリット

資産運用にこの「投資信託」を利用するメリットを5つ紹介します。

5つのメリット
  • 投資のプロが運用する
  • リスク管理されている
  • 少額でも投資できる
  • 安全性が担保されている
  • たくさんの選択肢から選ぶことができる

投資のプロが運用する

あまり詳しくない方でも、投資信託と言えば「プロの運用」というイメージがあると思います。投資信託では「アナリスト」や「ファンドマネージャー」など投資のための分析や投資判断の専門家が、購入者に代わって運用をしてくれます。

例えば株に投資するとすれば、その企業の業績や業界の動向、景気の状況、そして株価が割安か割高かなど、たくさんの情報を分析、判断して投資する必要があります。
個人でもセミプロのような人はそういう分析、判断を自分でやって利益を出す人もいます。でも知識や経験の無い初心者には難しいし、負担も大きいので、それを一括して専門家に任せる投資信託という仕組みはメリットが大きいです。

リスク管理されている

株などの投資対象は値動きも大きく、企業が破たんすれば「紙くず」になるリスクもあります。「プロの運用」は値上がりしそうな銘柄を見つけようとするだけではなく、経営状態が悪くなりそうな銘柄を避けるなどの「リスク管理」も行われます。
また「プロの運用」以前に、投資信託では集めた資金を多くの銘柄に「分散投資」することが基本です。万一投資先の1つの銘柄で破たんや大きな値下がりがあっても、全体への影響を抑えられるからです。充分に分散投資できるのは、多くの資金を集めて投資するからで、これも個人での投資に比べてメリットが大きい点です。

少額でも投資できる

投資信託は少額でも投資をすることができます。
例えば、株式では通常100株単位での購入になるので、株価が1500円の銘柄に投資するには、その1銘柄で最低でも15万円必要です。
投資信託は、一口1万円などからスタートする一口価格(基準価額)で取引されます。例えば1万円で数十、数百の銘柄に分散投資できるとすれば、15万円で1銘柄に集中投資するのとは全く違う投資になります。

「透明性」があって安心して投資できる


投資信託の一口価格は毎日(営業日)公表されています。また投資信託が投資している内容は定期的に報告(運用報告書)が受けられます。また法定の「監査」によって、投資信託の運営がチェックされる仕組みもあります。
お金を預けて判断を任せて運用をしてもらうとき、この「透明性」は大切です。
逆に預けたが最後、資産が増えたか減ったかもわからない、どんな投資をしているかもわからない、お金や投資した資産がどこにあるかもわからない、という状態を想像すると、大切さがわかると思います。世の中には、実際そういう詐欺的な投資話も存在するので注意してください。

たくさんの選択肢から選ぶことができる

投資信託には、投資先が株、債券(国債、社債など)などから、REIT(不動産投資信託)、金・原油などの商品相場に関わるものまで、たくさんの種類があります。いくつもの投資信託会社が同じ種類の投資信託を作り、運用成績を競い合ったりもしています。また、投資信託の評価会社というものもあって、同じ種類の投資信託どうしの間で運用成績を比較できる情報なども公開しています。
そのため、自分が投資先として関心がある分野の投資信託を選んだり、同じ分野でも評価会社の情報をもとに投資信託を選ぶことが可能です。

投資信託の2つのデメリット

上のメリットに対して、投資信託のデメリットと考えられることは次のとおりです。

2つのデメリット
  • 投資元本が保証されていない
  • プロに任せる費用(報酬、手数料)

投資元本が保証されていない

このあと詳しく説明しますが、投資信託は資産運用のプロが運用すると言っても、あくまで市場の動きのなかでより良い運用成果をめざすという形になります。
なので、市場が値下がりする局面では投資信託も購入したときより値下がりして損になることが普通に起きるのです。

ただそれは、預金などの「元本確保型」と呼ばれる貯蓄商品以外、リスクを受け入れて資産運用をするのであれば、どの方法でも同じことです。上のメリットのとおり、投資信託はむしろリスク管理されていると言えるのも確かです。

プロに任せる費用(報酬、手数料)

投資信託の関係業者と、それに支払う報酬、手数料については最初に触れました。
購入時手数料は、投資信託の購入時に、投資信託の代金とは別に販売会社(銀行や証券会社)に支払います。投資信託の種類にもよりますが、証券会社や銀行の営業担当者を窓口にして、典型的な「アクティブ型」の株式投資信託を購入すると、投資額の3%強程度とかなりの負担になります。
信託報酬は、投資信託の資産から定期的に差し引かれて、販売会社、投資信託会社、信託銀行(受託銀行)の3者に配分されます。こちらも投資信託の種類によりますが、典型的な「アクティブ型」の株式投資信託で年間1.5~2%程度の信託報酬になっています。
なお、投資信託の種類によっては、換金(売却)時に支払う「後払い」の手数料や、手数料のほかに換金時に「信託財産留保金」がかかることもあります。
販売手数料のほうは、インターネットのサイトだけで取引をする「インターネット証券会社」を中心に、最近は無料にするところも多くなっています。直近では信託報酬についても引き下げの動きがあります。

ここまで、投資信託について、仕組みや特徴、メリット・デメリットを説明してきました。
要約すると、元本が確保されている訳ではないが、分散投資や専門家が分析・判断する仕組み、少額から投資できることに加えて、透明性や選択の自由があることは、資産運用の初心者にとってメリットが大きい金融商品と言えるでしょう。
でもメリットが大きいからといって、勧められる投資信託をやみくもに購入すれば成功するかというと、それは全く別の話です。現実をよく知って、必要な考え方を身に付けてはじめて、そのメリットを生かすことができます。
その前提として次に、投資をする前に知っておいてほしい、投資信託の「実情」についてお伝えしてゆきます。

知っておくべき投資信託の実情3選

投資信託の実情3選
  • 「プロに頼んだから」損はしない?「プロの運用」の現実
  • 金融機関のセールスは「相談相手」?熱心に進めてくれる商品は良い商品?
  • 「運用成績が良い」「売れている」から良い投資信託?

「プロに頼んだから」損はしない?「プロの運用」の現実

「プロに頼んだんだから、損はしないでほしい」「プロなんだから、有名トレーダーのように資金を何倍にもしてほしい」、、、初心者の方ほどそのメリットに夢を描いてしまうかもしれません。「プロに任せる」結果は実際どの程度期待できるのでしょうか?
プロの運用といえども投資信託の値動きは株価指数など市場の動きと大きくは変わらないと考えたほうが良いです。
実際のところ、株価指数などを上回ることを目的にする「アクティブ型」の株式投資信託でも、株価指数の値動きを年に数%も上回れば「勝ち組」、そして「アクティブ型」の7割は株価指数などを下回っている。つまり目的を達成していないのが実情と言われます。
そもそも「分散投資」で多くの銘柄に投資すると、自ずと投資信託の値動きは市場の動きと大差なくなってしまうのです。もともと大差なくなっているところで、予測が難しいことを何とか予測して、当たればプラス数%、外れれば目的を果たせない。そういう苦しい戦いをしているのが「プロの運用」の実情なのです。

金融機関のセールスは「相談相手」?熱心に進めてくれる商品は良い商品?

これは投資信託そのものの話ではないのですが、投資信託の購入を考えたとき、初心者の方ほど「誰かに相談したい」ということで、金融機関の窓口で営業担当者と接することになります。確かに、金融機関の営業担当者は、投資信託などの金融商品や株式などの市場について知識があって、あなたが知らない話を聞かせてくれるかもしれません。
ただ、彼らの立場はあくまで「営業担当者」で、商品を販売すること、販売して「手数料」などの利益を得るのが役割です。なので、営業担当者から聞く話は、結局は商品を勧める話、「その商品であれば有利な運用ができる」とか、その商品は「優れた商品だ」という話になっていくはずです。
でも資産運用で失敗しないために大切なのは、商品の魅力(有利か、優れているか)よりもリスクを考えることです。なぜなら、どれだけ強く勧めたとしても、営業担当者はリスクを一切負担しません。購入する人はリスクを一手に引き受けて逃げることはできません。それが「自己責任」ということなのです。
資産運用の失敗とは、勧められるままに商品を購入して、思いがけない損を被ること。それを忘れないことが大切です。

「運用成績が良い」「売れている」から良い投資信託?

先に書いたとおり、投資信託の運用成績は、投資信託評価会社のサイトなどで比較することができます。新聞やマネー雑誌に、運用成績や「売れ筋」のランキング記事が載ることもあります。投資信託も「商品」なので、「より優れた」ものや「売れ筋」が関心を呼ぶのは自然な話ですが、そこにも「落とし穴」はあります。
ここでも注意が必要なのは「リスク」です。
一般の商品、例えば家電などでは、機能や性能、デザインなど、その商品の優れている点は見たり触れたり使ったりして直接評価することができます。でも、投資信託の場合、目に見えるのはグラフや数字になった過去の運用成績や販売実績だけで、裏にあるリスクまでは見通せません。
例えば、投資信託がある時期運用成績が良いという場合、それまでの運用成績が良いぶん投資先の株価が割高になっていて、今からその投資信託に投資するのはリスクが高いということもあり得ます。つまり、過去の運用成績は、その投資信託のこれからの「性能」を表さない、むしろリスクが高まっているということもあるのです。

まとめ;投資信託の資産運用で成功するための、3つの考え方

ここまでの話を知っていただくだけで、安易な投資信託の失敗を避けるヒントになると思います。でも、本当に投資信託の資産運用で失敗しない、正しい方法の考え方はまだお伝えできていません。最後にまとめとして、その考え方についてお伝えします。

失敗しない3つの考え方
  • 投資の判断は、結局は「自分がする」ことを理解する
  • 自分に合った正しい方法を知る
  • 正しい相談先に相談する

投資の判断は、結局は「自分がする」ことを理解する

「実情」に書いたとおり、「プロに任せる」成果は限られています。株式投資信託の例でいえば、プロに任せても投資信託の値動きは株価指数と大差ありません。結果は年数%のプラスマイナスにしかならず、相場が下がっても損はしないというような期待はできません。

ということは、相場の動きのなかでどうやって損をせず利益をあげてゆくかはやはり自分が判断することになります。何のことはない、「プロに任せ」るはずが結局は肝心の「判断」は自分ですることになる。これは初心者には少しつらい話ですが「現実」です。まずはそれを理解しましょう。

自分に合った正しい方法を知る

相場の動きのなかで利益をあげると言えば、「デイトレーダー」など、頻繁に取引をして利益をあげる方法が頭に浮かぶかもしれません。でも、初心者の人が最初から利益をあげられるはずがないし、リスクばかり高く、大切な資産の運用には向かないでしょう。

大切なのは、自分で考えるという「覚悟」のようなものを持つことで、やみくもに取引をしたりリスクを負うようなことは必要ありません。
相場の日々の動きだけを見ているとリスクばかり目につきます。でも、リスクを抑えて安定した投資ができる方法や、市場や商品の選びかたなど、最小限でも必要な知識や理解を身に着けることで、自分に合った、失敗しない正しい方法をとることは可能です。

正しい相談先を見つける

では、「最小限でも必要な知識や理解」をどうやって身に付ければよいでしょうか。
残念ながら、世の中にある資産運用の解説書やインターネットの記事では難しいと思います。世の中には、型どおりの投資理論や制度の説明、それでなければ「売らんかな」の怪しい情報が多すぎます。つい頼りたくなる販売会社の営業員も、立場の違いが大きく実は投資する側の知識や理解は足りないことも多いです。
専門知識があって、しかも投資する側の立場で、初心者にも寄り添ってアドバイスできる。
ファイナンシャルアドバイザー(IFA)やファイナンシャルプランナー(FP)の一部の方になるでしょうか。私の「資産カウンセラー」もそのサポートを専業で行っています。